3月3日は「耳の日」。補聴器が必要な高齢者の経済的負担を軽減しようと、沖縄県那覇市は加齢性難聴者を対象に補聴器購入費を独自に補助している。南風原町も同様の制度を2022年度から始める予定だ。高齢者の難聴は認知症などのリスクを高めると指摘されており、補助を受けた人から好評を得ているという。
本紙が県内全市町村に独自の高齢者向け補聴器購入補助があるかについて聞いたところ、那覇市と南風原町で取り組む。
身体障害者手帳が交付される高度、重度の難聴者が補聴器を購入する際は障害者総合支援法による国の補助制度がある。だが中等度、軽度の加齢性難聴は補助対象外のため、全日本年金者組合那覇支部が補助を求める陳情を20年に市議会へ提出し、採択された。
那覇市は陳情採択を受け、21年8月に独自の補助を開始した。市によると、全国で千葉県船橋市など十数自治体の先行事例があったという。
那覇市と南風原町の補助対象は65歳以上の住民税非課税世帯で、身体障害者手帳に該当しない中程度の難聴者。補聴器使用が必要であるとの医師の意見が必要。1人当たり2万5千円を上限に補助する。補聴器の価格は数万円から数十万円まで幅があるという。
那覇市では21年度は25人を補助の上限とし、53人の申請があった。申請者の中には条件に合致しない人もいたが、需要が高いため、22年度は枠を35人に増やす予定だ。
南風原町の担当者は「難聴によりコミュニケーションが取りづらいことで認知症になるリスクや認知症の進行が進むと聞いている。低所得で購入を控えてしまう方の助けにもなると期待している」と話した。
(伊佐尚記まとめ)